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常軌を逸した「ミサイル」騒動

狙いは軍事大国化の一環

朝鮮が平和目的の実用衛星「光明星3」号打ち上げを発表、国際慣例にもない最大級の透明性の保証措置を取ったにもかかわらず、米、日、南朝鮮は「弾道ミサイル発射」「挑発」「国連決議違反」などと騒ぎ立て、結束して「阻止する」と叫んでいる。わけても日本は、首相が「弾道ミサイル破壊措置命令」を発令するなど、まるで戦争前夜のように政府とメディアが一体となって反朝鮮キャンペーンを繰り広げている。常軌を逸した日本の対応をどう見るべきか。

「迎撃」の虚構

「ミサイル発射」騒動の先頭に立っているのは、日本である。日本政府は3月30日、自衛隊に対して「弾道ミサイル破壊措置命令」を発令、これに基づいて航空自衛隊は「ミサイルが沖縄上空を通過する」との前提のもとに沖縄本島の那覇市、南城市、宮古島、石垣市だけでなく、人工衛星発射の軌道とは遠く離れた首都圏の市ヶ谷、習志野、朝霞の基地に迎撃用の地対空誘導弾パトリオット・PAC3を配備した。

一方、海上から大気圏外のミサイルを迎撃するとして誘導弾SM3を搭載したイージス艦2隻が沖縄とその近海、他の1隻が朝鮮東海(日本海)に配備された。同時に、31日には沖縄の米軍嘉手納基地に米軍電子偵察機RC―135Uも到着。いかにも自衛隊が独自にミサイルを迎撃できるかのように大々的に喧伝している。

だが、「弾道ミサイル破壊措置命令」とは言え、自衛隊が独自に初動体制を取れるのではなく、「ミサイル」関係情報はあくまで全面的に米軍に依存しているのである。

また、「落ちてくるかもしれない」ロケットを迎撃ミサイルで破壊できるのかについても、自衛隊幹部自身が「命中する」とは信じていないことを認めている。

それでも、迎撃を強調するのは、09年4月に他の飛行物体を「ミサイル」と勘違いし誤った情報を発信して大混乱に陥った苦い失点を取り戻すというパフォーマンスにすぎない。

かかる防衛省、自衛隊の哀れな姿をマスコミも風刺した。「撃墜命令を出した防衛相が野党に撃墜されそうで。PAC3も知らないようでは。発射台揺らげば照準も危うし」(朝日新聞「素粒子」3月30日付)。自虐的にならざるをえないほど、日本の政治もメディアも頽廃し思考停止状態に陥っている。

「ミサイル騒動」の背景

防衛省、自衛隊の真の狙いは他にある。

軍事大国化の一環としての南西諸島の防衛力強化がそれだ。防衛省は、「ミサイル落下の危険性」「国民の生命と安全」を口実に、これまで沖縄本島にのみ常駐していた陸上自衛隊を宮古島、石垣島、与那国島にも常駐させる方針を固めた。これは、2010年に政府が策定した「新防衛大綱」で今後10年の間に実施することを決めた事項で、沖縄県民の抵抗を抑え込み、「地ならし」するうえでも願ってもない追い風が吹いていると、自衛隊幹部らは大喜びしているという。

日本がこれほどまでに「ミサイルの脅威」「迎撃」「制裁」を声高に叫びヒステリックになる現象の背景には、第2次大戦で大敗した日本帝国主義の残存分子、そのDNAと思想を受け継ぐ「戦後高度成長期」の落とし子たちが、長期にわたってますます社会全体に広がる閉塞感から脱却し、再び、経済、軍事、政治的に「活気」を取り戻そうとするもがきがあると言えよう。

鬱積した不満の捌け口は、朝鮮や中国などかつて侵略した隣国に向けられている。加害者が「被害者」になりすますだけでなく、実際にそう信じる風潮がいっそう顕著になりつつあり、過去の国家犯罪を反省するどころかむしろ美化する極めて危険な現象が起きている。その表れとして朝鮮を「悪魔化」する傾向は久しい前から続いている。その尖兵がマスコミだ。

米国の存在

前回と同様、今回も表向きは日本が際立ってヒステリックに「ミサイル」の脅威を騒ぎたてているが、後ろで巧妙に操っているのは他でもない米国だ。オバマ大統領は3月下旬、朝鮮の軍事境界線を視察、米軍の将兵を「激励」した。こうした歴代米大統領の姿を見るたびに、朝鮮戦争前夜を思い起こす。日本は、米国のシナリオに沿って第2の朝鮮戦争に備えて着々と準備を進めている。日本の支配層・保守勢力にとっては、憲法9条が最大の障害物であり、「戦争ができる普通の国」になるには、朝鮮の平和目的の人工衛星は絶対に認められず、「弾道ミサイル」でなくてはならないのだ。(韓桂玉、軍事評論家)

(  2012-04-09 14:37:20 )